保護区拡大の対策案に関して

有効な対策は

驚くしかない結果がはじき出されている植物達が現在曝されている未曾有の危機に対して、もちろん人間としても対策を講じていないわけではない。具体的な方法としては軽く話したが、日本では少し馴染みがないかもしれないがアメリカを始めとした広大な土地柄を生かして設置されている国定・国立公園などの『保護区の設置』というものが、その最たる方法として考えられている。保護区という言葉を使うと日本ではそんなところは無いだろうと思っている人もいるだろう、しかし意外と調べてみると全国規模でそれなりに設置されているという結果が出てくるので、これは予想外といったところかもしれない。

保護区の設置は国家クラス案件としてもだ、それらを積極的に行っていることは認めるにしても、この保護区の設置だけで本当に動物はもちろんだが、特に植物達の絶滅を歯止めすることが出来る画期的な方法といえるのか、という点については難色を示している専門家もいる。先に紹介したように植物達が絶滅の危機を迎える要因になっている理由の中で、日本では主に『開発』が主たる原因となっている。ただこれは都会などの人が人として住むために人為的な手を加えられることの出来るまでの範囲を指している。これが保護区などに指定されている場所へ、建設会社が食い込む事は当たり前だが許されることはない。開発を行った時点で地元住民からの批判に始まり、最終的には国からの通告などを受けることになるため、危ない橋を渡ろうとする業者はいないと見て良い。

そのため、絶滅の危機に瀕している植物達を保護するために保護区を設置する、もしくは今制定されている地区を更に拡大させることで、より多くの動植物がこの世界から消滅しないようにするというのも、問題ある話というわけではない。しかし現状こうした保護区が世界レベルで設置されている状況にありながら、植物達の状況は依然として変わっていない。それほどまでに植物の絶滅危機という問題の闇は根が深いことを意味している。

保護区の中が完全に安全というわけではない

日本でも国立・国定とした保護区の設置については、2020年までに日本の陸域範囲約17%とする『愛知目標11』という、生物多様性条約を結んでいる通り国家戦略の1つとしてその業務が行なわれている。知らないところではこうした条約が結ばれている、という点でも非常に勉強になって面白いのだが、ただ保護区をその数字にまで引っ張ってこれたとしても実際に起きる絶滅リスクを下げられるか、という問題を根本的に解消できるわけではない。むしろこの条約が本当に有効なものなのかという事例が示されていない、裏付け資料が不足している欠点を抱えている。

机上の空論ともいえるような条約なのではと批判が出てもおかしくはないこの条約だが、実際に保護区、その中でも特別保護地区として指定されている地域の個体数減少へ前身を促している要因としては、主に次のようなことが挙げられている。

国立・国定公園、特別保護地区における植物の減少原因

  • 1位:不明
  • 2位:踏みつけ
  • 3位:自然遷移
  • 4位:その他

特別保護地区として認定されている地域となるなら、例え関係者でも易々と立ち入ることは出来ないほど厳しい制約が課されている。景観という点にしてもそうだが、この地区にある動植物がどれ程貴重なものなのかという重要性も、物語っている事は言うまでもない。それでもなお、こうした特別保護地区として指定されている場所でさえ、植物達の絶滅へとその背中を押しているという。ただその原因として最たるものは、『不明』となっているため調査が必要になるが、その次にランクインしているのが『踏みつけ』と言う問題も深刻なところだ。さらに『自然遷移』という点もこの特別地区において植物達の消滅を促している大きな要因となっている。踏みつけについては研究員や観察員もあるが、地区に生息している動物達もその例として当てはめた方がいいだろう。

そして保護区として指定されていない地域では顕著な原因として挙げられた開発を始めとした人工的な手段の介入について、明らかに少ない数字を示しているがそれでも僅かながらに一端を担っていることも否めない。

このため、必ずしも保護区を拡大したとしても必ず動植物を絶滅の危機から保全することが出来るとは、とてもではないが言い切れない事が理解出来る。条約可決の際に提示された日本における陸域17%を保護区に指定する案は素晴らしいかもしれない、ただそもそも消滅してしまう可能性がある植物がいつの間にか消えてしまっていたなどと言われていることを含めると、本当に絶滅への歯止めとなる最たる手段を開発できるようになってこそ、漸くスタートが切れたといえるだろう。

条約どおりに保護区を拡大した場合

愛知目標が提示した保護区17%への拡大、これが本格的に2020年までに広げる事に成功したとしてどの程度の数字まで回復するのか、というのも気になるところだ。よほどの自信があるからこそこうした条約が結ばれたのだろうと思うのだが、結果を見るとそれほど目覚しいまでの成果が挙げられるとは良いがたい、何とも微妙な数値となっている。

どのくらいかというと17%へと引っ張ることに成功した場合、保全が達成される絶滅危惧種の割合はどんなに頑張ったとしても全体の『30%』しか達成されないというのだ。残り70%は残念ながら臨終を迎えるしかない、というので納得する人などいないだろう。助けられるなら少数の方が良いと考えている人もいるかもしれないが、専門家から言わせればふざけているとしか言いようがない話だ。市民もこれで納得するほどお気楽ではないだろう、絶滅の可能性がある植物の中には人間にとって有用性の高いものもあるかも知れない中で、失われてしまうから諦めてくださいでは条約そのものの存在意義が疑われてしまう。

逆にいえばそれだけ有効的な対策を現段階まで見つけられていない、ということなのかもしれない。つまり今後この数値をどの程度まで上げられるかは植物園などの研究成果に左右されるところでもある。

植物園の活動がもたらす意義とは

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