今後の理想的な展望は

植物絶滅という現実を見出した上では

愛知目標11という生物多様性条約が制定された事、筆者は何もこれが無駄だといいたいわけではなく、ただ拡大するだけでこの先に待ち構えている現実からは逃れることは出来ないということを言いたいだけだ。そもそも世界規模で植物の状況を把握していなかった中、日本で実施した10年間のデータを統合したものを参考に、レッドリストとして環境省に登録されている絶滅危惧種が、100年後には最大561種にも膨れ上がるという点で、世界初として行なわれた調査の有用性は示された事は大いにある。もしもこの調査が行われていなければいまだに日本はもちろん、世界でもBGCIが活動して植物園だけを中心としたネットワークだけでは、到底保護できる植物は限られてくる。気付けばあれもなくなっていたなどという、そんな状態が継続して起こる前に危機を示すことが出来たという意味では、理由に伴うだけの結果を導き出せたというものだ。

そして愛知目標11という条約についても問題というわけではなく、拡大しつつもその中で保護するに当たって有効的な手段を講じない限り保護できる植物はほんの一握りであり、そうならないためにも継続的な研究は不可欠であるということもある。業界を知らなかった人にとって、このような論争が繰り広げられているとは知らないだろう。新聞などのメディアにも取り上げられた事はあるかもしれないが、それでも大半の人は見向きもしないでそのまま素通りをしているかもしれない。現実を克明に表したこれらの調査結果は今後、どれ程の可能性を提示することが出来るかが鍵だ。

管理はきめ細かに

ではどのような活動をして行くのが有効となるのか、という点について少し分析してみようと思う。筆者は専門家ではないため詳しい研究などについての知識までは披露できないが、資料等によると何かしら最新の技術を導入して遺伝情報を保全する、といったような先進的な技術を用いるというわけではない。それこそ単純に、各地に点在している保護区における管理を徹底的に、そして定期的に行うこと、また減少している個体に対してどのような手段が最適なのか、といった点をより考察して行く事が重要という、基本中の基本に立ち返ったものばかりだと述べられている。

当たり前の事をすることこそ、より望ましい結果を生み出すことが出来るというのだから、何をするにしても基礎は大事ということだ。もちろん植物園の協力なくして達成できるモノではないので、研究機関特にがいかに強固な連携を取れるかが、この先の植物絶滅に対する手段の発見に大きく繋がっていくだろう。

100年後までにどの程度まで減らせるか

今回の調査で出された、100年後の日本では失われている植物の個体種が最大561種という数字、これもまだ現段階で何かしらの対策を講じていない場合での数字だ。中にはこの分類から逸脱する事が難しい個体もあるかもしれない、それでも条件などによっては起死回生となる手段を発見できる可能性は十分にあるとも調査を行った研究員は述べている。まだ時間はあると考えればそれなりに希望を持つことは出来るかもしれない。ただこの絶滅の可能性がある種もあくまで現段階での数値だということを加味すると、もしかしたらこの先数十年後の調査でさらに増す可能性があるということも忘れてはいけない。

こうした数値をいかに精度の高いものとして算出し、さらにどの植物を優先的に保全して行く事が望ましいかを調査することも、今後の課題でもある。これに対して保護区を拡大するとしても、地区内では保全活動が進行したとしても、あくまで限定的であって根本的な解決策としてはあまりに脆弱という部分も露呈しているので、抜本的な解決策とまではいかないことも分かっている。

そうした意味でも、今後も植物園として活動している団体がどれだけの成果を挙げられるかが重要なポイントとなってくる。これまでは植栽して見世物といったような見方しかしていなかった人もいるが、最近になって植物達の絶滅という問題が世界規模で巨大化していることを知れば、その役割がどれほどの責任を伴っているか把握してもらえるはずだ。過去現在において先進的に研究を続けているイギリスを始めとした世界の研究機関でさえ、こうしたリスクを改善するための提案できているわけではない。これはつまり明らかに発展途上とも言える分野でもある日本においてみれば、研究技術はともかくとしてまずは一般市民に対する認知度をいかにして上げるか、というのも同時進行で行っていかなければならない。

危機的な状況に希薄になりがちな世の中になってきているが、警鐘を鳴らすという意味で人間が生きていくためには不可欠な植物の存在保護についても、日本人は世界と同様真剣になって考える時間を持たなければならなくなってくる。誰かがやっているからいいではなく、自分から動き出す人を少しでも多く作り出す事も、こうした植物の絶滅問題を解決するためには欠かすことができない要因となってくるのかもしれない。自分だけがいいではなく、全体のことを考えることという意味ではこの問題でも大いに考えさせられるところだ。

植物園の活動がもたらす意義とは

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