日本の植物絶滅速度

なりふり構っている場合ではない

ここまではそれなりに緩めな転調で話をしてきたが、実際のところ日本の野生植物の絶滅問題についてはどの程度の規模なのかについてだが、かなり危ない状況だ。それも洒落にならないレベルであり、先ほどから話をしているようなレベルではない、由々しき事態が目下継続しているというのだから驚きだ。それもそうだ、日本の野生植物が曝されている絶滅的な状況については、世界の絶滅危惧種たちと比べた場合、何と最大3倍とも言われるような速度で絶滅までの道を加速しているのだと、理解している一般市民の人は少ないだろう。この研究結果は2014年6月、この原稿を書いているのは8月なので2ヶ月前にこの結果がはじき出されたのだ。それだけ日本列島における絶滅危惧植物種の保全は急務であり、もはや悠長に事を構えている場合ではないのだ。

例えばだ、このままの速度で現在のような研究を継続したとした場合、約100年後にはどれ程の植物が絶滅しているのかシミュレートした結果、何と最大で561種もの植物がこの日本から消滅しているというのだから、愕然とする結果だろう。研究している人々もこうした事実が分かっているからこそ、切磋琢磨して解決策を模索しているのだろう。研究者ではない人間からすれば、このような情報を目にしてもピンと来ないかもしれない、100年後にもなれば自分という存在がいるわけないとも考えて想像出来ない、などといっているような場合でもない。世界的にBGCI主動の環境保全活動に参加する事はもちろんいいが、そもそもは日本の植物園は日本に生育している植物達の保全について全力を持ってして取り組んでいかなければならない。確かに世界最先端の技術や情報を収集することも研究者にとっては重要だが、まず何より自国で抱えている問題をどのように解消すればいいのか、そこのところも研究していかなくてはお話にならない。動物もそうだが、まずは植物の絶滅を食い止める事こそ、日本の研究者がまず優先的に行わなければならない研究事案なのかもしれない。

動物よりも認知は低い

こうした事実は動物の絶滅危惧種に対しての認知よりも遥かに低い、絶滅へと衰退し続けている植物の数は日を追うごとに増すばかりとなっているのは言うまでも無く、そしてその勢いは世界として見ても異常なほどに早く進行しているというのだ。実際に調査した結果、1994年から95年まで、そして2003年から2004年まで、この10年間でどれ程の植物を対象とした生態系が変化しているのかという研究内容で、大体1618種という植物が確認された。この時の調査には10km×10kmという限定的な調査区を形成しての調査となっている。これにより、先ほど紹介した100年後には最大で561種という結果がはじき出された。ちなみに、この10年間を挟んでの調査というスタイルは世界でも初めて行われた調査となっていたが、ここまで具体的な数字が出たことでより日本の状況が世界有数の赤に近い黄色信号を放っている事が理解できたのだ。

ならばと考えられた対策としては、絶滅危惧植物種を保護する地区を形成することによって、という方法も考えられたがあまりに限定的な保護活動となり、実際のリスクの増減については顕著なまでの数値を記録するには不十分とされた。解決策が容易に提案されない中で、それでもどうしてこのように増え続けているのかという原因も思案されると、その結果として出された原因は、普段の我々にも直接関係しているあることだった。

絶滅植物種の増加を促す原因

日本において絶滅危惧植物種が増加している原因を生み出している大きな理由として挙げられているのが、何をとっても『開発』が圧倒的な原因だ。これはおおよそ定期経路として見て良いだろう、しかしこの開発の次に問題となっている助長行為が何を隠そう人間だけでなく様々な生き物に関わりがある。それは植物を『採集する』行為だ。思い当たるというより、研究者にしても誰でも、珍しい植物があるとして気軽に引っこ抜いて持ち帰るといったことをしていると、当然ライフサイクルを行うことは出来なくなってしまう。それが日本全体ともなれば絶滅危惧に認定されるようなことになったら、遠からず影響をもたらしてしまうのは、因果関係として妥当な線だ。

またどんなに調査しても絶滅の原因を見つけられない不明も多く、その次に『自然遷移』が挙げられている。そして意外にも開発に伴う『自然汚染』や、また動物が植物を食べる『食害』という点での絶滅危惧指定になるものは、あまり多くはないという。意外な数値といえば意外なところだが、動物たちが食べないものとなればそれは食べられないものだという前提があるのかもしれない。毒などが含まれている可能性もあるが、結局のところ日本では開発を進める中で稀少な植物を蹴散らしてしまっている例が多いようだ。

継続した調査が必要になる

しかしこの結果はもちろんあくまで現段階における調査が出した内容によるところだ、この先の事を踏まえると絶滅危惧指定される植物の数は突如増える可能性も否定できない。世界で初めて行った調査によって日本の植物状況がどのようなものになっているか、それだけ分かっただけでも成果はある。もちろん信頼に足るデータをはじき出したという点で調査方法も世界初であるのも、評価されるところだが、そこで喜んでいる場合ではない。

これから先完全に食い止めることは難しくても、より減退して最終的に絶滅危惧という言葉から逸脱する植物を少なく出来れば、それに越したことはない。保全効果を挙げるためにもより継続的に調査する必要はあるが、何よりきめ細かい管理をすることも重要な要素となってくる。

当たり前だが、561種の植物が100年後に絶滅してしまうから諦めてくださいなどといわれて、黙っているわけにはいかない。あくまで現段階での進行速度が継続すればの話だからこそ、今この時でも何とかその速度を減退、最終的には停止できるような効果的な対策を打ち出さなければならない。世界を意識した研究もいいが、まずは自国の植物絶滅状況改善が最大の目標だ。

植物園の活動がもたらす意義とは

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