日本での具体的な活動として

日本でBGCIが加入している植物園は4つ

BGCIの活動が世界規模で広がることによってもたらされる理想が、現実のものとして体現するようなことになればそれがどのような効果をもたらすのか、という点については素人目線では枠組みを想像するのも難しいかもしれないが、だがとにかく凄いことになるのは見えてくるだろう。それだけ世界レベルで今まさにこの瞬間にも絶滅の危機に瀕している植物を守るために活動していると考えれば、寝る間も惜しんで研究に励まなくてはと思うかもしれない。

そんなBGCIという世界最大の植物園ネットワークに加入している日本の植物園は全部で4つある。そのどれもがこの日本という国の中でも研究内容などはトップレベルとなっているところばかりだ。代表的な機関としては、世界の大学レベルでは三流と評価されているが日本では最高峰として君臨し続けている『東京大学大学院理学系研究科付属植物園』といったような、理学部として名の知れた国立学校が有している植物園となっている。先述でお話しした三陽メディアフラワーミュージアムは植物公園ということで、当然だが植物園としても分類されていないので論外だ。

それ以外の植物園も、BGCIに登録することを目標にするにしてもだ、そう簡単になれるモノではないだろう。当然ながら団体としての研究内容が伴っていること、そして植物園として研究している専門分野は何か、といったようなこともこのBGCIに加入するために必要な条件として考えられるところだ。日本全国に点在している植物園のトップレベルの研究機関として君臨し、更に世界でも今まさに絶滅危惧植物種などが生きられるような世界になるようにと、切磋琢磨して研究を続けている機関が数多くある中で、日本でも登録している団体があるのは、それだけ技術的に認められているという部分もある。

またBGCIとしても、日本への植物園と協力して絶滅危惧種として認定されている植物の保全活動について積極的に乗り出している。活動には加盟している団体はもちろん、植物園全体を支援している日本植物園協会や環境省といったところも、参加しているなど大掛かりなものだ。では実際に日本で行われている保全活動の一貫としてどのようなものがあるのか見てみよう。

絶滅危惧植物種が植物園内で保護

BGCIに活動内容が認められて、世界レベルでその情報を獲得している植物園も出てきている一方で、日本の植物園の中にはいまだに絶滅危惧種を保全しようとする動きから一歩引いたところで傍観しているだけ、といったような団体がいまだにある。すべての団体に当てはまっているわけではないが、日本植物園協会の中でも半数以上が保全活動が上手く進行していないという事実を示しているデータが顕著に示された。

まずは保全している種類にしても、絶滅危惧植物種として登録されている数はおよそ3,730で、種類にすると約695種の植物が危機的状況から脱していないという。それに対して全国の協会に加盟している植物園の対応としてはあまりにお粗末な結果となっている。また保全をしているからといっても、その手段などに問題があって別の意味で危機的な状況になっている場合もあることから、保全する以前に基盤となる植物園そのものに問題があるという結果をはじき出したのだ。

ただ仕方のない部分もあるかもしれない、日本は世界的に見ても絶滅危惧種植物の保全活動は非常に後進的だ、協会こそ昭和中期に差し掛かる前にその全身が登場しているが、本格的に活動を始めるまでに相当の時間を要した。その間に日本は恐ろしいほどの経済成長を遂げていく中で、稀少性を孕んだ植物が淘汰されて気付かぬ間に失われてしまう。それを防ぐために植物園が野生の植物の保全、その中でも特に絶滅の危機に直面しているものから優先的に活動を推進している。

優先順位を位置づけ、これから咲きとおしてそうした植物が失われないように活動する事は重要だ。だがまずは根本的に保全活動するだけの体制を整えなければまともに研究することも出来ないというのは、少々言葉と気合が空回りしているところがやるせない。これについては今後の展開次第で改善していってもらいたいところだ。

小笠原諸島の成果として

BGCIに加入している東京大学大学院理学系研究科付属植物園では、ある島の植物などを研究している。それは東洋のガラパゴスとも言われている中で独特の進化を遂げた動植物が数多く生息している小笠原諸島には、現在までに野生の植物だけでも絶滅の危機に瀕している種も存在している。小笠原諸島には計12種の絶滅危惧植物種とされるものが存在しており、東京大学付属植物園が1983年に保全活動を始めた事はかなり有名な話だ。その中で、ある種の植物に対してちょっとした試みが行なわれた、それは当時一株しかなかった『ムニンノボタン』と呼ばれるモノで、これを実際に野生株からの挿し木や同系交配で得た種子を利用しつつ、父島での植え戻し作業が行われていた。

その結果として、約10年足らずでそれこそ最後の一株とも言われていたムニンノボタンは何と300株にも数が増えていき、野性の中で生育することによって成功した貴重なサンプルとしてその歴史に名を刻んでいる。機関としてもこうした功績があったからこそBGCIがその実力を見込まれた、ということもあるかもしれない。現在でも東京大学付属植物園によって小笠原諸島では絶滅危惧植物を優先的に保全活動の対象とし、自生地における自然植生の回復などに取り組んでいるが、実際に人間の助けを借りなくてはいつ失われてもおかしくはない植物も存在している。道のりは決して楽ではないが、確実かつ着実にその一歩を踏みしめていることを踏まえている事は間違いない。しかし日本ではこうした野生植物の絶滅という問題は、実は世界的に見ても急務としなければならない側面がある事をご存知だろうか。知っても得は無いとばかりに構えている人もいるかもしれないが、日本が現在植物問題については本当に笑えない状況へと差し掛かっていることを理解している人も少ないだろう。

植物園の活動がもたらす意義とは

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